熱唱

初めてマイクを握った日

自分は無力と知った

張り上げたはずの声を

かき消した大音量

 

ステージに明かりがともり

深く息を吸った

知らない熱さに震える自分に

負けないように

 

鼓動に合わせて早くなるリズム

どうしようもなく上擦ってく声

それでも拍手をくれた

あの日のあなたは

今 ここにいないけど

 

私は今日も歌いつづける

楽屋で握ったマイクで

ひやり 走る心冷やして

あの日から続く

この熱が冷めないままに

精一杯 格好つけるから

聞いて

 

あれから何年経ったか

計算しては驚く

「初舞台なんです」と笑う

えくぼに目を細める

 

慣れることはない

震える身体で

しびれる心を握りしめて

さあ それでは始めよう

目の前にいるあなたへ

今 伝わるように

 

私は今日も歌いつづける

優しいリバーブでくるんで

こっそり 走る心隠して

あの日から続く

この熱に浮かされながら

精一杯 楽しんでいこう

 

こんな日々を いつか

目を細め思い出す

 

私は今日も歌いつづける

楽屋で握ったマイクで

ひやり 走る心冷やして

 

あの日から続く

この熱が冷めないままに

精一杯 格好つけるから

どうか 聞いていて